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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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03.28.19:03

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  • 03/28/19:03

02.03.07:20

Google中国

google_logo5.jpg




今学期はMBAっぽい授業がだいぶ増え、今日もGoogleの戦略についての議論などをしている。
 

Ten Golden Ruleと呼ばれるGoogleの社是には、"Don't be evil"、邪悪なことをするなという
メッセージがある。このメッセージは実務上、例えば、広告主からお金をもらって検索結果の
ランキングを操作することなどはしないという方針につながっている。他の一部検索サイトでは
このような操作を行っているところもあり、より高い広告収入を得ているのだが、Googleはこの
逆を行って、検索結果にバイアスをかけないことによってユーザーの信頼を得、シェアを伸ばし
てきたわけである。
 

だからといって検索結果を操作しているサイトのシェアが必ずしも低いかというとそうでもなくて、
代表的なのは中国No.1サイトの百度である。このことを授業中に指摘したところ、中国人の
声も聞きたいという意見が出て、中国本土出身でマイクロソフトで働いていたクラスメートが
発言することになった。
 
 

中国といえば目下、Googleがサイバー攻撃と検閲を理由に撤退を示唆していて、同級生の間
でも関心が高い。GoogleはDon't be evilという信念を貫いたのだ、と支持する声が多い中、
中国人同級生はなんだか発言にしくい感じにもなっている。


うーん、へんな風にけしかけてしまったかなあと反省しつつ聞いたのだが、クラスメート曰く、
検閲されてみんなハッピーなわけはないけど、中国は複雑&巨大なマーケットで、検閲を気に
しない人も多いし、そもそも何がevilかなんて、横から出てきて断言はできないよね、という
コメント。いやー、あの雰囲気の中でこの発言は立派。T君サンクス。

 

授業後も、イギリス人同級生が「中国人は検閲されることに社会的コンセンサスがあるのか?」
と追加質問してきたので一緒に聞いていたが、いやいや待て待てシンガポールだって報道は
されないけど実は大々的に検閲してるよね、そういえば中東だってそうじゃんという話になり
(ちなみに中東では最もリベラルなはずのUAEでも、例えばmixiは見れません)、少なくとも、
自由じゃない=evil、なんて決めつけをするのはちょっと傲慢な気はした。
 

そもそも中国の話で言えば、Googleは結局マーケットシェアの2割しか握れておらず、7割
近くは百度ユーザーである(ちなみに韓国も地元の検索エンジンnaverがぶっちぎり)。
 

他の中国人同級生に聞くと、要は百度の方が圧倒的に中国語検索がしやすく、さらにMP3
検索という、はやりの音楽を検索してその場で聞けてしまうサービスがあり、よってわざわざ
Googleを選ぶのは、百度では検索できない情報があるのを知っている一部の人だけだという。


もともと百度はGoogleのマネをして後追いで市場に入ったのだが、マーケットのニーズを
しっかりつかんで(中国では映画・音楽などエンタメの為にネットを使うユーザが大多数
だという)のしあがってきたわけである。
 

そうなると、欧米的価値観の世界では、「あのGoogleが撤退する?やっぱ相当邪悪だな、
中国。」みたいに思われがちだが、要は競争に負けたイチ業者が撤退するのみとも言える。
考えすぎかもしれないが、撤退にあたってカッコがつく理由を探していただけかもしれない。
 

もうひとつ言えば、Google中国撤退の話題では、結局こういう政治的な見解しか出てこず、
「あの会社の撤退は中国のネット市場の将来にどんな影響があるのか、ユーザーがくっきり
別れてたのだとしたら、もしかしたら市場が縮小しちゃうんじゃないだろうか、それとも誰かが
穴を埋めていくのか」等のビジネス的視点が欠けているのが残念なところ。むしろMBAでは
こういう話をしたいわけで、ここは中国人同級生とこれから数人で話そうと思う。
 

日本にいると政治的な要素もあって遠く感じてしまう中国だが、ここにいると相当身近。だか
らって打倒欧米みたいな狭い考え方になっちゃいかんのだが、少なくとも偏見や思いこみは
捨てて分かりあっていきたいと思う。

 

 

 

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同感
2010年02月03日水

T君に発言を振った張本人です。実は、T君には、Googleの話になったら振るから、よろしくねと事前にお願いしていたんです。それでも、あの雰囲気の中で、あれだけ発言してくれるのは立派。授業の後、アメリカ人やイギリス人が、関心持ってT君たちを取り囲んでいたのは、逆に面白かったし、僕も、授業のあと、何人かにT君に振った事を感謝された。
折角色々な国・価値観をもった生徒が集まっているので、こんな機会がもっと増えると良いと思う。

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