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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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05.15.06:19

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  • 05/15/06:19

06.22.09:56

メキシコ湾、原油、BP

仮にもエネルギーをかじってた人間として、この問題に触れずにはいられないと思う一方、状況はものすごくセンシティブで、コメントするのが非常に難しい。また、俺が何を言ってもある種のポジショントークになってしまう可能性もあるので、そこまで主張めいたことは(極力・・)書かない。

ただ、ここイギリスでのとらえられ方くらいは、事実経過として参考になるかもしれないとは思う。



結論、イギリスメディアの報道姿勢は極めて冷静である。冷静、というか、アメリカ人が見たら引き気味とも見えるかもしれない。それはイギリスを代表する(※)BPがアメリカで起こしていることだから、というナショナリズム的な感情というより、もっと実際的な、BPが食らう被害はけっこう一般国民にも及ぶという事実による。

例えば代表的なものは、BP株下落によって年金に大きな穴が開きかねないということ。ニュースで聞いた限りだと、BP株はイギリスの年金基金の投資銘柄として、少なくとも過去10年間、トップ3に入ってきたという。既にBP株は4月20日の事故発生以来、ほぼ半分に下落しているが、これは確かに年金受給者としてはヒヤヒヤものだ。あまりメディアで騒いでそのせいで被害が広がれば国民からも反発が出るだろう。



もっと広く言えば、当然あの規模の会社だと、経済に与える波及効果も絶大だ。BPが新規投資をちょっと控えただけでも、周りに死ぬ企業が続々と出るだろう。



一方アメリカの報道を見ると、こちらはさすがに容赦ない。地元住民、政治家、環境団体などなど含めBP憎しというメッセージが強烈。アメリカとしては3月末に沖合油田の開発にゴーを出したばかりなので、行き場のない怒りをBPにぶつけている面もあるのだろう。

ただ、当然ながらBPが本当につぶれてしまうと、この事故はどうしようもなくなる。体力のあるBPだから持ちこたえているが、途中から代わってくれる会社などあるはずない。そもそも中小開発会社であればさっさと破産して逃げる道を選んでいるだろう。

オバマとBP社長の会談で、200億ドル(2兆円弱)をエスクローアカウントに入れるという話がまとまったようだが、これも、最悪BPがつぶれても、2兆円は確保できるようにする為。

ただ、これに限らずアメリカが示唆している各種のペナルティ、補償請求がどこまで法的強制力があるかというとかなり微妙。このへんはさすがアメリカ流というか、弁護士がいっぱい出てきて最後はどうにか要求を通してしまうのだろうが、政府までそんな姿勢でいいのだろうか。トヨタの例を思い出してしまう。

「この事故によって沖合油田開発がアメリカ全土で凍結されたから、その為に失業した労働者の給与を全面的に補償しろ」などというかなり無茶な要求まで出ているらしい(さすがにBPは拒否中)が、株主のいる私企業として、なんでもかんでも仰せの通りにというわけにはいかない。

第一そんなリスクまで負わされるのであれば、誰も海上油田の開発などできなくなってしまう。これから陸上油田の開発だけでは生きていけるほど、人類の数は少なくない。

ついでに言うと、リグ(海上掘削装置)を建設したのは韓国Hyundai、それを保有してたのはスイスのTransocean、そのリース先は開発権利者のBPだけど、生産井を運営してたのはアメリカテキサスのハリバートン、などなど・・・という関係の中で、今回の事故をどう法的に落とし込んでいくのか。

個人的には、ミスはミスとして裁くとしても、「利益重視で手抜きをしたから事故に」なんていう、暴論を根拠にした懲罰は、将来の法整備に悪影響を与えると思う。



もちろん悲惨な事故であり、どうにか収拾しなければいけないのだが、感情論ではなく、未来を見据えた解決をしてほしい。個人的にすごく気になるので、また状況見えたらなんか書きます。



※ちなみにイギリス企業と書いたが、BPが純粋なイギリス資本だったのは20世紀前半にイランで石油を掘っていたアングロ・イラニアン社時代くらいなもので、その後はアメリカを中心とした外国企業(シカゴのAmocoや、カリフォルニアのARCOなど)とのM&Aを繰り返しているので、実際はイギリスなんだかアメリカなんだか、微妙な企業体である。
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06.15.06:07

30歳からの学園祭 "May Ball"その5、当日。

とうとう終わった。前々日くらいからてんてこまいで、その上当日は朝までのイベントなので
体力的にもしんどくてしょうがなかったが、今日学校に行って同級生から、あれよかったぜ、
と声をかけられた時はやって本当によかったと思った。



当日は500人を超えるドレス&タキシードのお客さんと、200人以上のスタッフが集まり、その
壮観な眺めに身震いした。



うん千ポンドかけて特設したマーキー(大テント)でのディナーはいかにも欧米風で、なんだか
自分がこれの主催者側にいるとはとても思えないような雰囲気だった。




ついでに言うと、約30人もの不法侵入者(チケット買ってないのにタキシードだけ着て、どこ
からか侵入する不届き者)が捕まり、お前らそこまでするかとイギリスの学生の倫理観に
驚いたが、逆にそこまでして来てくれるなんて、と変な感動もあった。


これで学んだことは色々あるが、やって最もよかったのは、一生付き合えるだろう友人ができた
こと。やはり半年も詰めてプロジェクトをやると、さすがに仲良くなるしお互いの長所短所も
よく分かる。自分の短所も相手にさらけ出すことになっただろうが、それは深く知ってもらう
ための必要悪でもあると思う。


しかし、もう終わってから36時間以上経つのに、依然体が重くてしょうがない。このへんは高校
生とは違うか。というわけでこのへんで青春プレイバックは終了。明日からまたがんばります。

 

06.12.09:05

将来に対する不安と覚悟と楽観

今学期、Leadership in Actionという講座がずっと開かれていたが、これも今日が最終回。

この講座は、Dennis Stevensonというおっさんが自分の知り合いの中からイケてる経営者
などを呼んでパネルディスカッション形式で人生とか職業観とかについて語らせて、
ついでに持論を展開するという、これはこれでけっこう面白い講座。

学生からの評価も極めて高いので、身を入れて聞きたかったのだが、実はなかなか今学期
きちんと出られてなかった。

今日も今日で、最後にも関わらず、つい手が回らずに大遅刻して、最後部の席でちょっと
だけ聞くはめになったのだが、なんとなくはっとさせられることがあったので。後半10分
ちょっとしか聞いてないので、理解間違ってたらごめんなさい。




まず一つ言ってたのは、「俺は社会起業なんてものにはすごい懐疑的だぜ」というもの。
「なんでかって、そもそもなぜ営利企業では社会正義が実現できないのか?その前提
から走るってのがどうかと思う」と。

ここはすごく意見の分かれるところで、多分これだけで10時間くらい議論できると思うが、
俺も心情的にはこっち派。っていうかだからこそ営利企業で働いてるわけで、もうちょっと
営利企業で行けるところまで行きたい。きっとそこには正義があると思う。

石油が漏れたりとか、ひとたび事件があると、利益追求だからダメなんだみたいなことを
すぐ言われてしまうが、個人的には事件は営利・非営利によって起きるのではないと思う。
多分それは組織の失敗とか、方法論によって起きるもので、ゴールの間違いとは思わない。





もう一つ言われたのは、これがなんとなく響いたのだが、「お前ら、大組織の階段を上って
行ったらどこかで壁にあたるんだぜ、よく覚えとけよ」というもの。

彼的には、だから起業という選択肢をリスキーにとらえるなよ、大企業の方がリスキーだぜ
ということを言いたかった感じがするのだが、自分としては、まさに大企業で働く自分の
ことをイメージして聞いていた。


率直に言って、多分俺は今まで会社で壁にぶち当たっていない。むしろ、キャリア的に言え
ば、ものすごく順調な部類だ。仕事で失敗したことがゼロですとは言わないけど、たまたま
しびれるほどの大失敗ができる環境にいなかったのもあって、もう会社がイヤでしょうがな
いとか、もうあかん限界やと思ったことは、幸か不幸か、無い。


これを経てMBAなんてものに来させてもらって今感じるのは、一言、怖いということ。

MBAで学んでいる期間は魔法みたいなもので、「ここのこんな戦略がダメなんだ」とか、
いわば毎日夢想している。今までイキがっていたのが、下手すると余計に増幅されている。

でも、じゃあ会社に帰ったらそれが本当にできるのか?大きなことは言ってるけど、そも
そも俺は会社や国の将来をリードするだけの器なのか?お前じゃないのでは?そう
思い出すと不安は無限に出てくる。

君はほんとに何者かになれるのかね?変に勘違いしないように、自分の中で予防線張っと
いたいいんじゃないかね?そうも思う。




多分、答えが出るのはそう遠い先のことではない。これも幸か不幸か、卒業後も1年くらいは
日本に帰らないのだけど、答えは帰国して2,3年後に見えるだろう。それを受け止めるくらい
には、俺はタフなのだろうか?受け止められなくて、「ミーがおフランスにいた時は」風に
逃げてしまったりするのだろうか?それってMBAの一番ダメな末路では?


こんなことを考え出すとなんだかピーターパン症候群みたいで、そもそもこの時点でアウト
な人材だろという気もするのだが。でも、じゃあだからゴールを変えよう、ハードルを下げて
みようとかは今のところ思わない。これは単なる自分への意地だ。


今日の講師のDennisのおっさんに対して言えるのは、おう、とりあえずサンキューフォー
ユアアドバイス、まあでもこっちも人生だからそれなりにやってみるよ、ということくらい。




我事に於いて後悔せず、と宮本武蔵は死ぬ前に言ったらしい。そんなかっこいい表現が
似合うようになれるかどうかは知らないが、少なくとも心はそうありたいと思う。

06.11.07:51

最後の授業と季節の変化

またご無沙汰してしまった。気がつくと前回書いてから10日も経つ。
最近は、書きたいことも、なんか自分の意見を書くべきニュースも色々あるのだが。

MBAが始まって以来、ちょこちょこ種をまいていたことが、先週、今週くらいで一気に全部
開花してきている。結果、嬉しいことなんだが。もうちょっとタイミングをずらして咲かす
べく調整すべきだったなと反省。

 

ケンブリッジでは季節が変わり始めている。そもそもイギリスに来てから、イメージよりは
随分雨が降らなかったし、ここ最近も意識したことはなかったが、今週は毎日パラついている。

といってもイギリスの雨は日本とは違い、1日に1時間も降ればすぐ止んでしまう。だからこそ
傘もレインコートも持ってなかったりするので、突然の雨に対する態度は基本的には「我慢」
だけ。だいたい毎日濡れて帰ってきている。


今週はケンブリッジ大学全体が試験シーズンなので、街は基本的に静かだ。この雰囲気も明日
までで終わり、その後はMay Week(6月だけど)と呼ばれる各カレッジのMay Ballの1週間に
入る。

それが終わったら、もう夏。多くの学生が故郷に帰って行く。


MBAも同様で、ついに今日、最後の授業が終わった。最後受けたのは「Macro Policy Issues
in the Wake of the Global Crisis」というやたら長いタイトルの授業。一昨年の金融危機
以降の世界の対応を、新古典派経済的な政策の失敗ととらえてみんなで議論しようという内容
で、非常にトピカルで勉強になるのだが、講師の喋りが緩慢なのもあってあまり評判はよく
なかった。

個人的には、日本で慣れてるからか、別にプレゼンが下手な先生がいてもいいじゃんと思い、
きっちり出席していたのだが、結局最終回には6人しか出てこないというやや寂しい幕切れと
なった。その分濃い話ができたようにも思うので結果オーライ。がんばれ先生。


もう一つ今週受けていたのは「Entrepreneurship Venture Capital」という、スタンフォード
から来ている教授が開くベンチャーキャピタルの講座。先生の話し方で言えば、こちらも御年
60歳といった恰好の、聞き取りにくい英語の先生なのだが、「Macro・・・」の教授には申し訳
ないくらいこちらは毎回満員の授業。たしかに出てくるケーススタディだけ見ても、本当に
リアルな人間模様といった感じで、素直に面白い。

自分がベンチャーキャピタリストになることは多分なく、どうせやるなら自分で会社やってから
だと思うのだが、経営者の目線で考えた時にも非常に参考になるケースが多く、充実していた。


こんな風に授業に充実したものを感じるのも、もしかしたら「これで最後」的おまけが乗っかって
いるのかもしれないが、いやほんと、実質10か月のプログラムは本当に短いなあと思う。



さて、ちょっと休憩できたので、ここらで戻って、咲いちゃった花をどうするか考えねばならない。
次はもっと早めに書きます。


そういや明日からワールドカップ。
やなニュースも色々あるが、やっぱ祭りの前の雰囲気は格別。

 

05.31.07:46

30歳からの学園祭 "May Ball"その4、チームとは。

思えばこの学園祭の準備は、一つの壮大なプロジェクト型授業だ。




俺が思うケンブリッジMBAの最大の魅力は、プロジェクト型授業が豊富に、かつ強制的に
行われること。

卒業までには、少ない人でも2つ(CVP=Cambridge Venture ProjectとGCP=Global
Consulting Project)、これにCapstone Project(ただしこれは今年始まる制度なので
どんなもんかはまだ不明)と夏のIndividual Projectを足すと最大4つのプロジェクトを
こなすことになる。

こうしたプロジェクトでは、チームを組んで長期間、実際の企業とかとの折衝に取り組む
ことになる。企業からのプレッシャーを感じつつ、チームでああでもないこうでもない
揉める体験は、アカデミックではないけれど、極めて実践的。特に日本ベースで仕事を
してきた人間にとっては、5人とも国籍が違うという環境は全くの異世界。チームとは
何なのか、本当に考えさせられる。



今やってるMay Ballの準備は、手間がかかって客からは無理難題を言われてチームでも
揉めてほんとーにしょーがないのだが、これも一つのプロジェクト型授業と思えば
いい体験かなあと思う。

メンバーはMBAから法学修士、教育修士、その他諸々。出身国も、もはやこういうのも慣れた
けど、12人いて11国籍。このインターナショナルチームでここまで壮大なプロジェクトを経験
できる機会はそんなになかっただろう。何せ昨年末からやってるから、もうほぼ半年。
期間だけで言えばCVPやGCPの6倍くらいやってることになる。


これだけやってると、さすがに何となくこういうカオス的環境でのチームワークのポイント
みたいなものが見えてくるが、第一には誠意。英語で言うとIntegrityとSense of
responsibilityを足して2で割ったくらいのイメージだが、とにかく俺は言ったことはやるぜ、
できなければ切腹、という姿勢を貫くこと。

特に語学にハンデがある場合、口先でうまいこと器用にこなすというのが難しいので、
ある程度は風雪に耐えて、誠意が伝わるまで黙々とがんばる必要がある。ここが伝わ
らないと、そもそもメンバーとして信頼されないし、チームをリードするなど不可能。


第二には謙虚さ。この場合はHumilityというより、Good level of self-confidence
というイメージ。前もちょっと書いたけど、全部を自分でやるのはそもそもムリなので、
早めに自分の限界を設定して、それ以上のことは、あと宜しくお願い致しますと
言い切る覚悟が必要。実際、組織とは生き物なので、リーダーとてその歯車のひとつ
にすぎず、自分が全部を分かってなきゃとか思った瞬間、逆に事故になる。


第三は、多分だけど、愛。これはLoveそのまんま。とにかくチームメンバーを(無理して
でも)好きになること。まあヲイヲイお前、だから西洋人は・・とか思うことも多々ある
のだけど、そこはぐっと堪えて、共通の敵を外部に作るとかなんとかして、チームでいる
ことを楽しむような空気を作りたい。

高校生だとこういうエネルギーが無軌道な恋に発展したりもするのだろうが、オッサンだと
そこは安心。残念ながら。

さっきも金のことでメンバーの一人と激しく議論してきたところなのだが、これでイヤに
なったりせず、「俺もたいがいしんどいけど、あいつもまあ色々考えてんな」とお互いを
慮ってやりたい。あんまりそういう態度は外に出すと気持ち悪いので、あくまで自分の中
の処理として。


なんとなくこんな感じが、高校生の時に不完全燃焼だった学園祭なのだろうか。ちょっと
こんな↓曲とか思い出すけど、一生準備で終わればいいとは思えないのは、三十路的な
体力精力の低下なのだろうか。


 

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