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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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12.16.16:24

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  • 12/16/16:24

10.08.07:02

日本企業のグローバル化について、その2

前回は企業の人材の国際化について、Perlmutterの論文を使って、4つの段階を説明した。ここで忘れてはならないのは、Ethnocentricはレベルが低い、Geocentricはレベルが高い、と捉えるのは誤りだということ。

要はその企業にとって何が競争力の源泉なのかを見極めた上で、それを最大化するような組織にするのであり、「みんなが国際化するから俺もやってみよう」というのでは全然ダメということ。


日本人が全てやってることからこそ戦えるんです、という業種であれば別に無理する必要ない。例えば日本国内だけがマーケットの飲食業とかであれば、組織の国際化は不要だろう。まあそれでも最近はワタミとか海外出てたりするけど。


その上で、やはり国際化すべきであれば、絶対にやらねばという確かな根拠を持って取り組むべき。前も書いたけど、特に大企業であれば既得権益の反対派は必ずいる。しかもだいたい改革派より「偉い」。



さて、そこで企業が国際化しなければならない根拠、理由をもう一度考えたい。


よく言われるのは、「海外の優秀な人材の獲得の為」というもの。楽天やユニクロの英語公用語化問題でもこれが中心の議論だったように思う。

たしかに日本の人口が減る中、「優秀」な層の割合が一定とすれば、優秀人材の絶対数は減るわけで、それを補うべく優秀さを海外に求める、という議論は成立する。俺もこの議論には心情的に同意しなくもない。

ただ、この理由づけの最大の問題点は、そもそも「優秀」を定義づけるのが難しい中、「なんで日本人じゃダメなの?日本人も優秀な人まだまだいるじゃん」というツッコミに勝てないからだ。

特に守旧派のおっさんになればなるほど、「自分=日本人=優秀」という三段論法でとらえがちなので、「海外の優秀な」とか言った途端にもう拒否反応だろう。これでは社内で話を通せるわけがない。

個人の顔の見えにくい大企業で話を通していくには論理力が全てであり、何かを変えるには誰もが反対できない論理展開が必要だ。「海外優秀説」はその観点では弱すぎる。



そこで、俺が考える、反対派を黙らすことのできる理由とは、「スピード」である。

総合商社の例で言えば、そもそも商社の競争力の源泉は誰にも負けないアジリティ(素早さ)と情報力だったはず。ただ、その競争力の源泉はネットの登場で大きく損なわれており、いまや商社に頼らなくてもググればたいがいのことが分かってしまう。

いま商社はたまたま期間損益で儲かってるので、競争力が失われてないように見えるが、これはネット登場以前の昔に築いた資産、信用でつなぎで食ってるだけであり、本質的には、会社のコアはどんどん空洞化している。


よって商社が本来の意味で競争力を取り戻すには、従業員という人的資産を使って今までより広く、深い(ネットでできない)ネットワークを再構築する必要がある。

これはもちろん日本人でも頑張ればできる。できないわけない。
こっちもそれなりには「優秀」だから。

ただ、それをやるのに、何年かかるの?ということ。俺だって、例えば5年もあればインドの化学品業界に隅から隅まで精通することはできると思うが、いまどきそんなスピード感でいいわけない。それがインド人の同業界トップ層を連れてくることができれば、もう一瞬。

要はM&Aと同じで、人を採ることで時間を買うのが国際化の眼目である。商社に限らず、いま日本人だけでやることが前提になってる会社では、やりたくてもM&Aができない状態なのである。これはビジネス上のオプションという観点で、極めて制約が大きいと言えると思う。


よって俺は、国際化する理由づけとして、「優秀説」ではなく是非「スピード説」をとってほしい。この大義のためなら、いま組織を変える労力は決して惜しくないと思う。

そして出来上がってしまってないスタートアップ企業には、将来にわたるアジリティの確保のため、是非最初のころから日本人以外が働く前提でやってほしい。変えるのは大変だ。最初から組み込む方が何倍も楽。幼馴染の矢野君がやってる会社などは、その意味で非常に正しいと思う。
http://www.halo-web.com/member/index.html



次回からは、今いるイギリス企業で何が日本の伝統的な会社と違うか、ちょっとずつ書いていきたいと思う。
 

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Re:日本企業のグローバル化について、その2
2010年10月17日日

こんちは。ヨロシク。

僕が考えるに、海外展開するんだったら、日本人を派遣していたらコストがかかってしょうがないし、文化的なコンテクストもわからないので、現地採用が必要。そのためにはマネジメントレベルでも英語化が必要。

「日本人がイギリス人と英語でビジネスして勝てると思いますか?フィリピン人とタガログ語では?」

というのが結構シンプルなロジックだと思う。楽天やFRがいう「優秀」ってのはこういうコンテクストなのでは?

Re:日本企業のグローバル化について、その2
2010年10月17日日

コメントありがとうございます!

日本人を派遣していたらコストがかかってしょうがない、これはほんとその通りだと思います。ただ、短期的には、日本人を出した方が教育もろもろの観点でコストが安く見えてしまうというのもあると思います。もちろん中長期的には完全にアウトなんですが。

「日本人がイギリス人と英語でビジネスして勝てると思いますか?フィリピン人とタガログ語では?」 という点では、これは微妙なところで、個人的にはヲイヲイと思うのですが、「勝てる。勝てないのは気合いが足りない。もっとがんばれ」というおじさんがけっこういるのも事実です。わが社内にもたくさんいます。しかも半端に語学ができる人が多かったりすると余計やっかいなのです。

ただこういうおじさんは、「若手の頃に苦労して、40代で花開く」的な時間感覚でものごとを見てたりするので、それでは今どき遅い、と僕は思うのです。

Re:日本企業のグローバル化について、その2
2010年12月03日金

はじめましてで恐縮ながらいきなりコメントさせて頂きます。
ここで述べられていることは、「人材の国際化」と表現するより「人材の現地化」と表現された方がよいのではと感じました。
「優秀」という言葉が少し曖昧なので私が意味をとらえ違えているかもしれませんが、例えば、絶対的に高いマネージメント力、人間力を持ったインド人にブラジルのプロジェクトを任せる、ということは「人材の国際化」の議論に挙げれられるでしょうが、その地域の事業展開のスピード(スピードだけで無い場合も多いと思いますが)に関しては、その土地の言語・文化に通じた人材を採用するかどうかという「人材の現地化の是非」という議論になると思います。
総合商社の場合は、一つの事業がエリア的に複合化・複雑化しているケースが多いので、どの階層の人材かによって議論も変わってくるのではないでしょうか。

Re:日本企業のグローバル化について、その2
2010年12月04日土

DMTさん、コメントありがとうございます。

仰る通り、「人材の」という主語だと「現地化」という表現の方が分かりやすいかもしれませんね。

もちろんこれもご指摘の通り、日本企業で働くインド人がブラジル支店で働くみたいなケースも十分あるので一概には言えませんが。もっと具体的に言えば、例えばアメリカで発展したシェールガスの技術を中国で展開したいんだ、という話になれば、これは現地の中国人をとるのではなく、アメリカ人をとって中国に送り込むべきという話になるかもしれません。

私のエントリはあくまで「日本企業の」という視点で書いてますので、「日本人しかいない」状態を脱するという意味では「現地化」も「国際化」もほとんど同義になると思います。

「優秀」という言葉は、私もそもそも曖昧すぎるので使うべきではないと思います。「優秀か優秀でないか」で議論するのではなく、「その商売に必要なスキルを持ってるか、持ってないか、持ってないならそれを内部育成するのか、外部から取るのか」という問題を議論すべきであり、この議論の際に「でもいずれにしても日本人じゃなきゃダメよ」という制約条件が付いている状態はまずい、というのが上記のポイントです。

残念ながら、「でもいずれにしても日本人じゃなきゃダメよ」条件があるのが多くの日本企業の実態だと思います。これには言語の制約もあるのですが、それ以前に、社員にどんな働き方を期待するか、また社員とどんなコミュニケーションをするか、という基本的な点において企業側のマインドが古いままなのが原因だと考えています。

ちなみに「どの階層の人材かによって」とありますが、これは高給のマネージャーや専門家層か、もしくは労働者層か、という意味でしょうか?

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