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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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11.23.16:59

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  • 11/23/16:59

04.07.09:06

二酸化炭素と私

ここ最近はGlobal Consulting Projectのための調査で、環境、二酸化炭素関連の
ことが頭の中の9割以上を占めている。前回書いた通り、クライアントからもらった
お題が極めてざっくりだったおかげで、逆にこの分野に関するかなり広い範囲の
知識を得られている。
 
最終発表までまだあと10日程度あるのだが、なんとなくここまでの調査で思ったの
は以下3つ。
 
 
 (1)二酸化炭素を減らせ、みたいな目標だけ掲げても事態は何も変わらない。国際
      的枠組だけではなく、そこから国内規制、個々の企業への削減義務割当、等々
      まで落とし込んではじめて目標は機能する。
 
 (2)逆に一企業レベルの目線では、現行の制度と排出権マーケットの価格レベル感
      を前提にすると、(メーカーでも、電力会社とか製鉄会社でもない限り)二酸化
      炭素排出が会社のコストに与えるインパクトはかなり限定的。
 
 (3)(2)を前提に環境関連のソリューションを売り込もうとすると正直かなりしんどい。
       一営業マンとしては、お客さんの意識をなるべく超長期に向けさせるべく、
       最低限「いやー、そうおっしゃいますけど将来どうなるかわかんないっすよ、最近
       のアメリカの州レベルの規制では・・・」くらいまでの会話ができないと仕事になん
       ないと思われる。
 
 
(1)は京都議定書を批准している日本で事態が何も変わっていないことが示す通り。
 
勿論、京都議定書の構造自体、つっこむべきところも満載なのではあるが(例えば
削減目標が1990年比 x%、になってるが、日本はオイルショック後の70年代~80年代
に大幅に脱石油、脱石炭を進めており、90年にはもう対策がだいたい終わっていた。
エネルギー消費量あたりの二酸化炭素排出量でいえば日本は依然、ヨーロッパの
多くの国より進んでいる)、多国間で決めるにあたって国内の反論を押さえこめないと
思われるのであれば、そもそも合意すべきではなかったと言える。なんで合意しちゃった
んだろう。やっぱ京都だからか?
 
一方、欧州はEU ETS (Emission Trading Scheme)と呼ばれる域内枠組&これに
基づく国内規制を固めており、現場レベルまでの落とし込みができている。まあEU
ETSにも欠陥はあって、二酸化炭素を実際に減らすのに有効、とはまだ言い難いが、
少なくとも国内規制の前例をきちんと作れたことは大きい。
 
 
(2)は、現在のクライアントもけっこう大きいメーカーではあるのだが、色々コストを
計算してもうーん、そんな大したことない、という印象。これは、①排出規制がかかる
範囲がまだ狭く、全体に減らすべき量が少ない、②排出権が安いので買ってくれば
それで済む 等の理由による。
 
特に金融危機後、景気が悪くなって工場が止まり、排出も自然と少なくなった結果、
ここで排出削減のためにわざわざ追加投資をする正当性がどこまであるか?という話。
 
 
(3)は言わずもがな。排出規制は国、地域によって本当にバラバラで、例えばいわゆる
排出権にも様々な形があって価格もバラバラなので、単にトレーディングするだけでも
これを全部押さえておく必要がある。

よってビジネスとして考えると、労力をけっこう割かねばならん一方、便益は大したことない
かもしれないので(将来化けるとしても、足元でどこまでキャッシュが生めるかは微妙)、
商売としてどこまで真剣に取り組むかは考えるべきだろう。
 
そういや過去にCDM案件もトライしたことがあるが、めっさ手間がかかるわりに、二酸化
炭素排出を減らすことで生まれる収入は、正直全くプロジェクト経済性の助けにならない
(入ってくる金額も少ないし、入ってくるタイミングも遅いし)ことが分かり、やや失望した
こともある。
 
 
とは言え、これらは全て現在の規制を前提にしての話なので、今後の話には目を光らせ
ておかないといけない。ここ最近、アメリカの連邦レベルでの規制の話が動いているので、
もうちょっとこの話追いかけたい。


 
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03.31.17:47

It's time to think of our future

あと2日で渡航後、まる7カ月。


クライアントと会うのが延期になり出遅れ感のあった
Global Consulting Projectも、
ようやく盛り上がってきている。与えられた課題は、とある大手製薬メーカーの
損益にClimate Changeが与える影響を、今後20年間で予測し対策を考えろ、という
なんとも広ーーーいものなので、これを如何に形にするか頭を悩ませている。

どうもオレはチームメンバーには恵まれる境遇にあるらしく、今回も問題児的な
子は一人もおらず、極めてまじめなチーム。プレゼンなんか作らせるとさくさくっと
いいものが出来てくるので、そういう部分にやや弱い分、計数モデリングとか
マーケット分析とか、得意な分野でがんばって貢献しないと、という気分にさせられる。

一方、チームへの貢献とか和とかも考えなければとは思うが、今回のプロジェクトで
成し遂げたいのは、ぶっちぎりで環境政策、特にCO2規制に詳しくなることである。
その為にはチームの和は犠牲にしてもいいくらいだと思う。

なぜならこの分野は儲かるエリアだから。儲かる、というか、全ての規範になるであろう
CO2規制に精通しておくことは、大型プロジェクトをコントロールし、各国のえらい人に
深く刺さり、結果儲けるという、営業マンとしての必要条件だと思っている。

別に政策大学院とかに入ったわけではないが、政策が自分の商売に与えるインプリ
ケーションまで、しっかり腹落ちさせておきたい。

しかし、このメンバーと勉強ができるのも、あと3カ月。これからはMBAも終盤戦。みんな
徐々に、夏以降どうする?という会話をし出している。終わりが見えてくると、急に
愛おしくなったりするもので、作業中も余計なプライベートの話に花が咲いてしまう。
高校の時のテスト勉強しかり、みんなでやる勉強、というのはどこに行っても非効率なの
だなと思いつつ、まあこれもいいかしょうがねえなと自分を納得させ、最近英語で覚えた
下ネタなどを披露して遊んでいる。

03.10.04:56

マーケティングなるもの

風邪をひいた。イギリスに来てから初。大した症状でもないのだが、ここんとこやたら
体がだるい。それでもコンサルプロジェクトの客との電話会議など、外せない予定も
あるので、ある程度は無理して学校に行く。
 

そういや今週はテストもあり、その勉強もせねばならん。テスト科目は
 

・Business Law
・Managing Innovation
・Marketing
・Strategy
 

と4つあるのだが、どーーーにも気分が乗らないのがマーケティング。
 


こんなこと言うと多分色んなとこから怒られるのだが、「マーケティング」ってものに
自分の中でどーーーにも価値を見出せない。っていうか多分、嫌いなだけ。
 

日本にいた時から思ってたんだけど、なんかマーケティングの先生ってうさんくさい印象。
こうこうこんなポジショニングでこんなプロモーションをしたから売れたんですよ、
とか言われても、ほんとかよ~、とか思ってしまう。
 

最低限、どこで誰にいくらで売るか、とかを決める必要があるのは当然わかるのだが、
それ以上マーケティングの先生的なものから何を学ぶんだ?と思っていたが、授業を
受けて、結局このへんが払拭できなかった。テスト勉強で「4P」などのマーケティング
用語を振りかえる度に、うっそーん、とかいちいちつっこんでしまう。
 

ご批判は承知なので、もしお前それは違うよ、とか浅いよ、とかのご意見あれば、是非
バシバシ打って下さい。

03.05.03:19

授業「Topics in Financial History」とユーロ問題

19世紀後半からの金融の歴史を振り返る授業。アメリカ史に寄りすぎなところもあるし、
宿題も相当多いのだけど、中身は濃く、ケンブリッジに来てから受けた授業の中でも
かなり秀逸。

最終回の授業では、世界恐慌後からブレトンウッズ体制崩壊に至る過程までをカバーする
中で、国際金融のTrilemma(3つの問題間での板ばさみ)に関して学ぶ。

1.固定為替相場
2.独立した金融政策
3.資本移動の自由

の3つの政策は同時には実現できないという内容。

例えば現在の日本みたいな社会で言えば、2と3はできているけど1は放棄しており、現代も
途上国では多いドルペッグ下では、1と2をとる代わりに資本の流出入に国の制限をかけたり
して3を諦めているなど。

その意味で言えば、ユーロというシステムは、対ドルとか対円とかでは変動だけど、違う国
同士が通貨を固定しているという意味で1をとっており、その分2を諦めていることになる
(圏内の全ての国の金融政策は欧州中央銀行に引っ張られる)。


ここから先はこの授業の為に書いたレポートのコピペに近いのだけど、固定相場というのは
けっこう管理が難しく、例えばイギリスがユーロに入れなかったきっかけは92年に起きた
ポンド危機という出来事である。

イギリスは他の欧州諸国から遅れ、90年になってやっと通貨統合に参加する腹を決めた
のだが、その際にかなりの経常収支赤字があったにもかかわらず、固定為替レートを
割高に決めてしまい、後になって投機家から激しくポンドの売りを食らって買い支えが
できなくなり、あえなく統合通貨から撤退せざるを得なくなった。

97年のアジア通貨危機も、発端は、ドルペッグにしていたせいで割高になっていた東南アジア
通貨が大量に売られまくったこと。タイ、インドネシアなどの政府は固定相場を維持できなく
なり、為替が暴落し、当時膨れ上がっていた外貨建て債務が償還できなくなり、インドネシア
の場合は政変にまで発展してしまった。


で、現在のギリシア財政危機、ユーロ暴落問題なんだけど、もとはといえば、経済的・政治
的格差がある国までひっくるめてユーロにしてしまったツケがいま来ているのが実態。

特にギリシアの場合は、本来、欧州中央銀行の基準にあわせて財政・金融政策を制限しな
ければいけないのに(Trilemmaで言えば、2を諦めなければいけない)、実態は基準違反を
しながら、粉飾まがいの為替スワップでこれをごまかしていたというタチの悪さ。

この粉飾にゴールドマンサックスがアドバイスを行っていたということで、アメリカでも大問題
になってるようだが、この問題の動きを追っていると、ヨーロッパの問題がよく見える。最近の
ニュースは、5年もすれば、MBAでのいいケーススタディになるだろう。そもそも「ヨーロッパ」
なんてひとつの地域みたいな呼び方をすることにかなり違和感を感じだしたが、もうちょっと
掘り下げてみたいので、また続き書きます。

03.01.12:16

30歳からの修学旅行 inバルセロナ

バルセロナにあるビジネススクール、IESEで開かれていたカンファレンス、"Doing Good
Doing Well" (http://dgdw.iese.edu/)に出る為、週末をスペインで過ごしてきた。
 

しかし、気が付くと同じケンブリッジから総勢30名近い同級生がバルセロナに行くことに
なっており、しかもそのうち20名くらいはカンファレンスにも出ずただの旅行、という、これが
MBAでいいんかいなというお気楽なツアーに。同じ飛行機で移動、着いた空港で集合写真
を撮り出してしまうなど、ノリは完全に修学旅行。
 

一応自分は会議にちゃんと出たので内容を紹介すると、最近のMBAとかでの流行用語
のひとつ、Social Responsibilityを大きなテーマに、社会起業家、ベンチャーキャピタル、
行政官、学者などがそれぞれの分野での問題点、考え方などを議論し、学生の質問に
答えていくというもの。分野としては途上国開発、貧困、教育、CSR、環境、エネルギー、
これら分野への投資など。昨今ではMBA学生の就職先も金融・コンサルから、こういう
分野に多様化してきているので、学生にとっては、こういう会議に出るのは就職の為の
ネットワーク作りの意味合いも強い。
 

個人的には、今後の仕事で途上国への進出は避けられないので、その際に、ホスト国
側から外資がどう評価されているのか、外資は本当にその国のためになるのか、
あいつらいい仕事するなと思われるには何をアピールするべきか、等を勉強しようと
思って聞いていた。特に、最近個人的にアツいアフリカでは、外資が農地確保に走って
おり、韓国の大宇がマダガスカルで叩かれたりしてるので
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/090321/mds0903212151007-n1.htm)、
今回たまたま出ていたアフリカ系のパネリストに話を聞けたのは有意義だった。
 ケニア初のビジネススクールの学長とも話す機会があったが、本当に途上国のことを
考えたいならBBCとかCNNとかを信じるなよ、自分で見ろ、とハッパをかけられた。
 

また、都市化、スラム問題でも、実際に都市開発をしているネパールの社会起業
家から、「もちろんスラムは何とかしなきゃいけないんだけど、都市に出てきて人々に
情報が入るようになると、異様な出生率が下がったり、郷土病が減ったりするので、
農村で自然に暮せというのはむしろ傲慢」とコメントしていたのが印象的だった。
 

そんなこんなで真面目にものごとを考えたりもしたのだが、どうしても夕方になると
スペインの太陽とうまいメシ(どちらもイギリスには無い)が気になってしまい、大勢の
同級生となんだかんだけっこう遊んできた。
 

そして今回ついに、あのカンプノウで試合を見ることに。ちょっと長くなるのでまた明日。