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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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11.21.15:20

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  • 11/21/15:20

12.20.07:03

イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき

今日で渡航後、473日目。早いもので2010年も年末。日本の仕事に戻るまでにあと8カ月程度。

今日は、ここに来てちょっと困ったなという話。
 
 
 
自分で言うのもなんだけど、もともと、俺はかなりジャパンラブな男である。
 
そもそも留学しようと思ったきっかけも、エネルギーの仕事で日本側が海外勢(もっと具体的には中東の国)にケチョンケチョンにされるのを見て、しかも自分たちがそれに対して何もできないのを見て、これじゃあかん、この調子で日本ベースで成長しても、こいつらと互角にやれないのでは?と思ったからだ。
 
だから、その頃書いたMBA入試のエッセイを見ても、かなり熱い。ジャパンいっぱい。今にも2.26事件でも起こしそうな勢いだ。
 
そのへんの思いは今も基本的に変わらずきている。だからこそ日本企業をネタにしたブログまで書いちゃって、色々悩んできた。
 
 
と、ここへ来て、最近あった話。今いる会社の同僚で最も忙しそうな感じなのが、ロシア語ができる女性(今の国籍はリトアニア人だけど、人生の大半はロシア育ち)。やはり伸び盛りのロシアに対応できるということで、一日中常にロシア語で電話している。
 
その彼女と、最近こんな会話をした。
 
俺:Are you going back to Russia in Christmas holidays?
彼女:No, I will stay in the UK this time.
俺:Do you think you will work in Russia in the future?
彼女:No, I prefer to stay in the UK and make best use of my language skill as Russia is my key client.
俺:But I suppose Russia has more growth potential and opportunities than the UK?
彼女:Probably, but I don’t think I need to stay there to use its opportunities.
俺:Umm, OK...
 
この会話の中で彼女が「ロシアはkey clientなので」と言った時、なんだかすごく違和感を持った、というかイラっときてしまったのだけど、多分それは、文脈はともかく、自分の国を、客です、以上。と言えてしまう感覚がなんか寂しいなと思ったのだと思う。これが日本人内の会話だったら、この非国民め、ばりの返しをしていたかもしれない。
 
 
だけどよく振り返ってみると、むしろこの感覚は俺が今までイギリスで会った中国人やインド人、ヨーロッパの他の国の人にも共通していて、別に珍しくはない。まあ帰ってもいいけど、帰らなくてもいいよね、特にこれって言ってやることもないし、くらいが普通である。こんなことMBAの時に既に同級生から感じていたはずなのだけど。
 
 
そう考えると、逆に俺はなぜそんなに日本のことで思いつめているのだろう、何をそんなにジャパンジャパン騒いでいるのだろう、と悩みだしてしまった。
 
思えば、今までの人生が全て日本ベースで、かつキャリア上もずいぶん日本に寄りかかった仕事をしてきたので、これからはなんとか国に貢献できないか的な考え方をしてきた。でも考えてみれば、一介の営業マンがわざわざアイデンティティを国に求める必要は無いわけで、政治家でもないのに日本日本言うことはむしろビジネスの視野を狭めることにもなりうるし、どこかで判断を歪めかねない。
 
自分に対してよりきつい言い方をすれば、他に特に強みもアイデンティティもないのでとりあえずジャパンを軸に据えてみてただけじゃねーの?とも言える。だとすると、それって相当ナイーブな判断だ。きっと、本来自分が個人として磨くべき教養や価値観を曖昧なままにして、既存の考え方をよしとしてきた部分があるのだろう。
 
 
こんなこと言いだしてしまうとこれからの自分のアイデンティティのよりどころに非常に困ってしまうのだけど、思ってしまったものは仕方ない。イギリスにいるのもあと8カ月、ハードルが上がってしまった感があるが、なんとか頑張りたいと思います。
 
ちなみに今の会社とは契約が切れるタイミングで、色々考えたのだけど、別の会社に移ります。このへんはまた。

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Re:イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき
2010年12月20日月

オレは日本に住んでいるけども、同じような違和感を感じてます。周りの経営者が、「日本初の〜」「日本から世界へ」とか「日本を元気に」とか最近言いまくってる。特に、グローバル展開を考えているところは特に。でも、そんな風に軸足を母国(日本)において考えたり、動いたりしてるのは、日本人ぐらいなんだよね。良いか悪いかという解釈はおいといて、「なぜ我々はそう考えるのか?」という問いに対する答えは用意しておく必要があると思う。
かく言うオレも、少々混乱してますが。

Re:イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき
2010年12月23日木

なるほど。どこまで本気で言ってるかってのもあるけど(単に気合いを内外に示してるだけかも。そしてそういうノリは個人的には好き)、確かにこっちで"for British!"とか言ってる会社って聞いたことないよね。企業が国営ばっかりなUAEとかだと聞くけど。

それってグローバル展開というよりは日本人が外に出ていきますというのを目指してるのかな。前も書いた通り、そのスタイルが自分たちの競争力の源泉と思うならアリだと思うけど。これが「なぜそう考えるのか?」部分の答えなのかなあ。うーん、そうでもなさげ。

Re:イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき
2010年12月26日日

>単に気合いを内外に示してるだけかも。そしてそういうノリは個人的には好き

>そのスタイルが自分たちの競争力の源泉と思うならアリだと思うけど

→一人一人質問して回ったことはないけども、
 雰囲気的には前者が多い気がするね。

 こと「モバイル」とか「モバイルコンテンツ」に関しては、2〜3年前までは日本が先行していて、後者の企業もあった。ただ、スマホ時代になって惨敗してるから、そういう会社も減ったよね。通信キャリアや端末メーカーは、完全に意気消沈。今だに声高に言ってるのは、DeNAとかGREEぐらいかな?

いずれにしろ、確固たる信念や熟慮の結果によるものではないと思うので、堀越的な悩みはこういうこと言ったりやってる経営者にも刺さると思うし、興味深いテーマだと思うよ。

かく言うオレは、冬休みを利用して『ローマ人の物語』(塩野七生)を読了の上、自分なりの答えを探そうと思う。

Re:イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき
2010年12月28日火

ありがとう。俺も自分の会社がそういうことを言い出してるので(「我々は日本の精神を大切に・・・」みたいな)、それも悩みでもあるんだよね。それって逃げなんじゃねーの?と。

とはいえ、これに対する個人としての明確なアンチテーゼは打ち出せてないわけで。

長く海外にいると、既に日本から完全に独立してしまった人(生活、雇用、金融資産、情報ルートなどにおいて、日本に依存する部分がもう全く無い日本出身の人)というのもけっこういて、こういう人たちがどういう思想で生きているのかは興味深い。俺も何かしら答えは持とうと思います。

Re:イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき
2011年08月22日月

たぶん一度、転職後の、パブでの某会合でお目にかかったことがあります。(その後別会合にお誘いいただいたのですが、私は参加できず申し訳なかったです、グループ会社の同僚が参加し、彼からはその後も伺いましたが・・・)

もうそろそろお帰りになるタイミングでゆっくりお話もできず、残念なところですが、たまたま本エントリーを拝見して、思うところあり・・・

玲に出てきた彼女は、ロシアをクライアントのように扱った、ということですが、
彼女はなぜロシアからリトアニア国籍に・・・というところの突っ込みはいかがでしょうか?

日本人から見れば旧ソ連、みな同じに見えるかもしれませんが、それぞれが独立して今に至る(特にバルト三国はEU加盟!)ということを考えると、この「関係性」をどう見つめるか、がポイントなのではないかと思います。

私もエストニアに行ったときに、たまたま乗ったタクシーの運転手さんは旧ソ連に馴染みがあり、ウラジオストックの話で盛り上がりましたが、
一方でエストニア語はロシア語とまったく異なる(むしろ対岸のフィンランド語に近い)雰囲気であり、また首都タリンの開けようは、西側諸国とまではいわないまでも、旧ソ連らしさを(少なくとも街中は)感じさせない、という点で、ロシアとの距離の遠さを感じました。

おそらく、少なからぬ欧州人から見る、日本と韓国も似たような感じにみえるのでしょう。「韓国って昔日本の領土だった時期があるんだよね。じゃあメンタリティも似てるよね」 
当事者から見ればえ~っというところで、
たとえば、在日韓国人で日本に帰化した人(韓国育ちが長い)が、韓国のことを、距離感を置いて客観視した表現をする、というのは、十分にありうる話かと思います。

もともとは石油畑、ということで、復帰されてもそちらに戻られるのだと思いますが、中東、そしてスタン系の国々の差異(近さと距離感)といったところには、ライフワークと思われて付き合われると、「ジャパン」らしいお仕事ができるのではないか、と感じる次第です。(きっと日本における石油の先達もそこがカギと思ってやってきたんだろうなぁ・・・と)

またいつか、お話しできる機会を楽しみにしております。

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