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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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11.25.09:09

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  • 11/25/09:09

07.14.18:09

ウガンダでチャリティーを

しばらくご無沙汰してましたが、2週間弱、東アフリカはウガンダに行ってました。


最近イギリスのチャリティー団体と知り合う機会があり、ここ2カ月くらいちょっと手伝ったり
個人的に募金もしたりしていた関係で、「今度支援してる先の現地視察に行くけどどう?」と
いう話があったので、付いていって現地の色々な団体を見て歩いたもの。


一つにはアフリカ、かつサブサハラの奥地という土地に関する興味として、発展度合いはどんな
もんなのか、ひどいひどいというがどこまでひどいのかを知りたかった。もう一つの目的は、
いわゆるNPOだとかチャリティーみたいな組織ってどんな人がやってて、どんな苦労があるの
かを見たかった。そんな感じでパパっと話がまとまってしまった次第。


学校のプログラムが終わった翌日イギリスを出て、ウガンダの首都カンパラに到着。すぐに
地方の農村地域に移動したのだが、いやー、カンパラもどうして。これはなかなかすごい町だ。
とにかく道路、水道をはじめ、インフラというインフラは全てダメ。三菱パジェロで移動して
いたが、とにかく首都なのに道路がすごすぎて、パジェロの性能を余すことなく堪能できた。


そこから地方に移動して、村での農業近代化、識字率向上、孤児院、エイズ蔓延防止など
諸々のプロジェクト・団体を見て回ったが、こりゃー大変だと思うと同時に、MBAでの学び
の締めくくりとしても意義深いものとなった。まとめると以下5点。長くてすいません。




1.アフリカの農村はやっぱりすごい。でもこれから。
これは正直想像以上だった。気候がいいので飢餓状態ではないのだが、水まわり、家の
構造(ほとんどの家は泥で固めた壁か、スカスカのレンガ作り)はじめ、衛生状態は極めて
悪い。マラリアが蔓延してるのだが、蚊から身を守るための蚊帳もけっこうない。

ショックだったのはHIV感染率の高さで、ある村の女性20人くらいと話をする機会があったが、
1人が「私最近調べたら実はHIVで・・」と語り始めたらみんながワラワラと手を挙げ出し、
感染率5割以上ということが分かった。

また、ほとんど全員がある程度の英語はできる(これは日本人としては危機感を持ったが・・)
一方、特に中高年者の識字率が低く、情報伝達や経済成長を阻害している。

逆に言うと、教育やインフラ整備を手始めにやることは無限にあり、英語ができることも含め、
アフリカの可能性は極めて高い。現在アフリカ大陸全体でのGDPは約1.6兆ドルとブラジルや
ロシア一国のGDPと同じであり、まだまだ。でも、農業ひとつとっても、全世界の未開拓耕地
の60%がアフリカにある等、単に手をつけられてないだけとも言える。やはり要チェック。

ついでに言うと、「俺たちアフリカは・・」というアフリカ人論をよく聞いた。アフリカには
53カ国もあってもちろんひとつではないのだが、今までの歴史が失敗だった、でもこれからは
違う、という危機意識は共通してあるようだ。衰退する日本と互恵関係を作る余地は大きいと
も思う。

(ちなみに: W杯準々決勝、アフリカで唯一残っていたガーナとウルグアイの試合は、アフリカ
全土で注目されていたが、最後延長で、絶好の機会で得たPKを外した時、これまたアフリカ
全土が落胆した。俺の横に座っていたウガンダ人は「な、これがアフリカだ。俺たちはチャンス
があっても外す」とつぶやいていた)



2.チャリティーのマネジメントはビジネスよりはるかに難しい。
チャリティーとは本質的に無償で与える行為であり、貨幣を通じてお互いの利害を50:50に
調整するビジネスとは、そもそもインセンティブの構造が異なる。これは、ほっとくと、
あっという間に支援を与える側と受ける側に依存関係を生みだす。そして依存関係は健全な
成長を阻害する。

今回行った先でも、「これをやりたいからイギリスからこれだけ金をくれ」というかなり直接的
な要求をしてくる団体もあった。しかも、そこでやりたいという内容は、明らかに団体の当初の
方針や身の丈を超えているもの。

「もらう」という行為から始まった組織が軌道に乗った時、自律的な成長路線に切り替えられる
か、切り替えさせることができるか、ここは非常に難しいと思った。



3.それでもビジネスと共通する課題はある。
とは言いつつビジネスでの考え方が通用する部分は多い。

例えば、上に書いた団体は、もともと孤児院として始まった組織だったが、ウガンダの地域
振興のためと称して、農業近代化活動、起業家育成と手を広げていた。ただ、そこには、
それらに必要なエキスパタイズを自分達は持っているか?という自問が欠けている。

自分の能力を超えたことをやれば自然とコストは上がり、そもそも金がないチャリティー団体
は自滅する。要はビジネスで言う選択と集中とかはチャリティーでも重要だし、他にも使える
ビジネス知識は多い。



4.ディスクロージャーはビジネスのそれよりはるかに大事。
当然だが、支援を受けているからには、健全な予算管理と投資家への収支開示、活動報告
は極めて重要。ここができてない団体も多いが、これはむしろ支援する側が積極的に求めて
いかねばならない。

その意味で、チャリティー団体はいい人の集まりでは運営できず、時には毅然とした対応
ができる人間が必要。



5.なにより明るさが大事。
印象的だったのは、農村でどんなしんどい暮らしをしていても、みんな明るく素直ということ。
宗教(キリスト教が主)も人々の生活に密着していて、全ての行為に対して神への感謝が捧げ
られる。

HIVでも、それが元で家から追い出されても(そういう夫が多いらしい)、それでも神への感謝
の歌を歌いながら働く、という姿勢から学ぶところは多かった。

奥深い農村では、外の世界の情報を得ることが全くできず、何か始めたくても元手がないのが
通常だが、村で貯金箱(当然、木製)を一つ作って、そこからコミュニティー向けに金を貸す
(金利50%とかで)ような原始銀行みたいな試みも行われており、なんというか、人間の知恵
と努力に感動してしまった。

ものすごく月並みではあるが、俺なんか悩んでる場合じゃないぜと思って帰ってきた。



追記. 帰ってきた直後に首都カンパラで爆破テロがあり、70人以上の方が亡くなった。
ウガンダは近年、治安的には不安要素が少なかっただけに衝撃的で、現地の友人達も
驚いていた。こういうのがあの大陸への投資を阻害しており、無念でならない。


027.jpg

 





都会の風景。


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ばあさんが一人でやってる孤児院。


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雨どいからの水を貯めるタンク。飲料用。


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村長と奥さん。
 



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