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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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04.20.05:00

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  • 04/20/05:00

04.09.09:14

新エネ、疑問、決意

いまやenvironment、clean tech、renewable energyはMBA用語の中でも最もよく
使われる部類の言葉であり、入学以来、これでもかという勢いで聞かされてきた。
 
学校でも関連のセミナーはじゃんじゃん開かれるし、"Climate leadership"なんて
授業まである。ケンブリッジMBAで今年から始まったconcentrationという専攻制度
の選択肢にも、"Finance"、"Entrepreneurship"等の定番と並んで、わざわざ
"Energy & Environment"が入っていたりと、学校側もこの分野には非常に意欲的
である。
 
もちろん学校以外でも、ここはヨーロッパ、その手の話題は尽きない。また、アメリカ
のMBAに行っている知り合いから聞いても、向こうでもエネルギー分野の位置づけ
はやはりかなり高いようだ。
 
俺の場合、学校でもEnergy SIG (Special Interest Group)という同級生の勉強会に
所属してて、また、今はGlobal Consulting Projectで環境関連のプロジェクトを
やってることもあり、同級生でも新エネ関連のキャリアに進みたいという人間の話を
よく聞く。彼ら同級生はなんとかそっちの仕事をつかむべく、セミナーにも積極的に
参加するし、人脈作り(こっちでは"networking"と呼ばれる)にも熱心だ。

これらは全て、大いに結構だし、俺も非常に興味のある分野なので、出来る限り
協力、貢献したいと思っている。
 
 
 
ただ、正直ひっかかるのは、
(1) まず第一に「なんでそんなに新エネルギーが好きなんだろう、既存エネルギーに
      は興味持ってくれないの?」ということと、
 
(2) 第二に、「お前ら本気でエネルギーに命かける気あるか?」
ということである。
 
 
(1)の点から言うと、MBAでそれなりにお勉強もできて、これから社会的にも相対的に
有利な立場に立てるであろう人間たちが、こぞって新エネ、というのは、まあいいんだ
けど、なんかもったいない。
 
話を聞いてると、「石油石炭はもう成熟産業、よりチャレンジするには新エネ」みたいな
ことを言われてしまうのだが、化石燃料は決して安定していない。むしろ超不安定、
課題山盛り。頭のいい人になんとかしてもらいたいことは沢山ある。中でも、これから
先、産油国のえらいさんとどう付き合うか、という問題は、弁の立つMBAが前線で頑張
れる分野だと思う。
 
ついでに言うと、先進国での雇用の意味では、新エネルギーは多分これから荒れる。

特に技術によっては、そもそも大したテクノロジーではなかったりして、陳腐化が
かなり早い。そのわりに、エネルギー供給の観点で安定的ではない、すなわち人間
生活の中での主要なパイを狙っていけない(例えば、太陽光が石炭火力に代わって
電源のベースロードになるのは無理)ものが多く、よってもって本質的に商売が拡大
しない。急激に人が入りすぎた業界では、これから廃業、統廃合、人切りが避けられ
ないだろう。
 
また、新エネ関連のエンジニアではなくビジネスサイド、例えばPEとかベンチャー
キャピタルみたいなのもあるが、このへんの将来性も怪しい。そもそも、この手の
ファイナンス屋さんは足が早く、かつ資本コストもお高くつく方たちなので、政府が
支援してやっと青息吐息、でもプロジェクトは20年走らなきゃいけない、みたいな
業界でどうやって生き残るつもりなのか謎。ケンブリッジにもこういうPEはいくつか
あるが、個人的にはかなりネガティブ。
 
 
さらに根源的に思うのは(2)の方なのだが、MBAで新エネとか環境やりたいという人達
の多くから、なんというか、覚悟が見えない。どうにも、なんか「ここを足掛かりに別の
分野へ転身」ということを考えてそうな気がするのだが、その意味では、ひとつのプロ
ジェクトの足が長いエネルギー分野は、多分典型的なMBAのキャリアとマッチしない。
 
まあ何が典型的なMBAか、というと、元々は投資銀行コンサル、もうちょっと最近だと
PE、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタルあたりがポストMBAの仕事として最高だった
わけで、これらが相対化してきている今、MBAのキャリア感も変わってきていると言え
なくもない。

学校側も、過去の典型的な職場に学生をリードできないから, 新エネ的なものに流れて
いるのかもしれない。
 
とは言え、短期的な成功イメージを持っているとしたら痛い目に会うと思われるのが
この業界である。2,3年以内に履歴書に書けることはけっこう少ないだろう。どうもこの
へんの認識が薄い同級生が多い気がして、やや心配。
 
多分この分野を攻めるには、一生をかける覚悟が必要。例えば欧米的キャリアでも
最高位のひとつに位置する石油メジャーのCEO、役員レベルは、全て生え抜き社員。
多くの会社にいる、元コンサルです的な役員は皆無。しかもその内けっこうな割合が、
もともとエンジニアで現場感もバリバリだけど、ビジネスもみっちり叩きこんできた、
というタイプ。新エネは違う、なんてことはなくて、そもそもこういう人達と伍していか
なきゃいけないんだから、移り気でいいはずがない。
 
そしてそんな石油メジャーですら、これから生き残っていけるのかが分からないのが
化石燃料ワールドである。いまやエクソン、シェル、bp等に代表される国際石油会社
は、束になっても世界の石油の15%しか押さえていない。あとは地元のおじさん達、
産油国ががっちりガード。地元のおじさん達に価値を提供し続けられなければ、
さようならと切られてしまう世界だ。

ここでいう、提供できる価値がもしかしたら新エネなのかもしれない。このへんの新エネ
と産油国の関係はまた詳しく考えたいが、俺にとっては新エネは(少なくとも今出てる
ものは全て)その程度の位置づけ。
 
 
と、同級生の文句ばかり言ってきたが、俺はこの分野に命をかけられると思っている。
自分の能力を考えると、新エネで世界を変えることは無理だろうが、今の世界と今の生活
を守ることはできるはず。できる、というかなんとかする予定。
 
自分が死ぬのは多分2065年くらい。2064年までは働くつもり。それでもあと2万日弱。
それまでに何をなすべきか、考えさせてくれているという意味では、残り少ない学生生活
と同級生との会話に、本当に感謝しなければならないと思う。

 
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04.07.09:06

二酸化炭素と私

ここ最近はGlobal Consulting Projectのための調査で、環境、二酸化炭素関連の
ことが頭の中の9割以上を占めている。前回書いた通り、クライアントからもらった
お題が極めてざっくりだったおかげで、逆にこの分野に関するかなり広い範囲の
知識を得られている。
 
最終発表までまだあと10日程度あるのだが、なんとなくここまでの調査で思ったの
は以下3つ。
 
 
 (1)二酸化炭素を減らせ、みたいな目標だけ掲げても事態は何も変わらない。国際
      的枠組だけではなく、そこから国内規制、個々の企業への削減義務割当、等々
      まで落とし込んではじめて目標は機能する。
 
 (2)逆に一企業レベルの目線では、現行の制度と排出権マーケットの価格レベル感
      を前提にすると、(メーカーでも、電力会社とか製鉄会社でもない限り)二酸化
      炭素排出が会社のコストに与えるインパクトはかなり限定的。
 
 (3)(2)を前提に環境関連のソリューションを売り込もうとすると正直かなりしんどい。
       一営業マンとしては、お客さんの意識をなるべく超長期に向けさせるべく、
       最低限「いやー、そうおっしゃいますけど将来どうなるかわかんないっすよ、最近
       のアメリカの州レベルの規制では・・・」くらいまでの会話ができないと仕事になん
       ないと思われる。
 
 
(1)は京都議定書を批准している日本で事態が何も変わっていないことが示す通り。
 
勿論、京都議定書の構造自体、つっこむべきところも満載なのではあるが(例えば
削減目標が1990年比 x%、になってるが、日本はオイルショック後の70年代~80年代
に大幅に脱石油、脱石炭を進めており、90年にはもう対策がだいたい終わっていた。
エネルギー消費量あたりの二酸化炭素排出量でいえば日本は依然、ヨーロッパの
多くの国より進んでいる)、多国間で決めるにあたって国内の反論を押さえこめないと
思われるのであれば、そもそも合意すべきではなかったと言える。なんで合意しちゃった
んだろう。やっぱ京都だからか?
 
一方、欧州はEU ETS (Emission Trading Scheme)と呼ばれる域内枠組&これに
基づく国内規制を固めており、現場レベルまでの落とし込みができている。まあEU
ETSにも欠陥はあって、二酸化炭素を実際に減らすのに有効、とはまだ言い難いが、
少なくとも国内規制の前例をきちんと作れたことは大きい。
 
 
(2)は、現在のクライアントもけっこう大きいメーカーではあるのだが、色々コストを
計算してもうーん、そんな大したことない、という印象。これは、①排出規制がかかる
範囲がまだ狭く、全体に減らすべき量が少ない、②排出権が安いので買ってくれば
それで済む 等の理由による。
 
特に金融危機後、景気が悪くなって工場が止まり、排出も自然と少なくなった結果、
ここで排出削減のためにわざわざ追加投資をする正当性がどこまであるか?という話。
 
 
(3)は言わずもがな。排出規制は国、地域によって本当にバラバラで、例えばいわゆる
排出権にも様々な形があって価格もバラバラなので、単にトレーディングするだけでも
これを全部押さえておく必要がある。

よってビジネスとして考えると、労力をけっこう割かねばならん一方、便益は大したことない
かもしれないので(将来化けるとしても、足元でどこまでキャッシュが生めるかは微妙)、
商売としてどこまで真剣に取り組むかは考えるべきだろう。
 
そういや過去にCDM案件もトライしたことがあるが、めっさ手間がかかるわりに、二酸化
炭素排出を減らすことで生まれる収入は、正直全くプロジェクト経済性の助けにならない
(入ってくる金額も少ないし、入ってくるタイミングも遅いし)ことが分かり、やや失望した
こともある。
 
 
とは言え、これらは全て現在の規制を前提にしての話なので、今後の話には目を光らせ
ておかないといけない。ここ最近、アメリカの連邦レベルでの規制の話が動いているので、
もうちょっとこの話追いかけたい。


 

04.04.02:58

ケンブリッジ vs オックスフォード ボートレース編

ケンブリッジとオックスフォードの大学対抗ボートレースは歴史が古く、1829年にケン
ブリッジがオックスフォードにケンカを売ったところから始まるという。毎年、イースター
休暇の季節に両大学がロンドンのテムズ川に集結し、約7キロの行程で勝負を決す
る。今年、なんと第156回目のイベントが本日開催。
 
本当はロンドンまで見に行きたかったのだが、結局色々あってやむなくカレッジの
大型テレビでみんなで見ることに。我がHughes Hallは8人の漕ぎ手のうち3人を
出していることもあり、カレッジのPresident(一番えらい人。60過ぎのおばさん)まで
含めて大盛り上がり。
 
今回はBBCが全面的に中継。テレビで見ていても、テムズ川沿いに異様な数の人が
集まっているのがわかる。これもひとつのイギリスの重要行事らしい。
 
特に今回は、オックスフォード側に双子の兄弟が出ていて、なんとこの双子はFace
bookの考案者なのだが、現FacebookのCEOにアイディアを持っていかれ、それ
でもFacebookを訴えて6千5百万ドルの示談金を獲得したという御仁。既に北京
オリンピックにも出ていて、現在はオックスフォードのMBAにいるという双子で、話題
性はぶっちぎり。
 
対するケンブリッジは、特にタレント無し。華がない上、濃紺のブレーカーでビシっと
決めたオックスフォードに対し、ケンブリッジのユニフォームは間違って買った
ユニクロのフリースみたいな感じで、明らかにイケていない。過去2年負けている
こともあり、カメラもほとんどケンブリッジを追わず。。
 
レースが始まっても、前半は完全にオックスフォードのペース。ボート1艇分くらい
離されている。ああこらあかんわと思っていたのだが、なんとなんと終盤一気に盛り
返し、残り1/4を切ったあたりでオックスフォード艇をまくる。カレッジでも大盛り
上がりで、みんなで"Come on、come on!"の大合唱の末、最後は逆に1艇分以上
の差をつけて逆転勝利。こんなことってあるのね。
 
そんなこんなでケンブリッジ、オックスフォードという合唱を繰り返し聞いてて思い
出したのだが、そういえば去年のMBA受験の面接からもうまる1年。2ndラウンド
で受けて3月に面接、最後オックスフォードとかなり悩んだことを思い出す。あの時
オックスフォードを選んでたら、今日は若干しょんぼりだったのか、とかしょうもない
想定をしてみる。そういえばMBAブログのくせに肝心の受験のことを全く書いて
なかったので、別のエントリでまた書きます。
 
とりあえずボートレースのプロモビデオを↓。メシはまずいが、イギリスの伝統は
嫌いではない。
 
 

04.03.07:51

30歳からの学園祭 "May Ball" その2

Global Consulting Projectが忙しくなってきてはいるのだが、祭りの準備もこれは
これで進めねばならないので、今日は午後からMay Ball運営メンバーで集まって会議。

実は運営メンバーは、本当はカレッジに所属する色々な学生から募りたかったのだが、
最初数人のMBA学生で進めていた流れで, 結局その後入ってきたメンバーもほとんど
MBAになってしまった。
 
お互い顔も知った仲なので楽は楽なのだが、概してMBAは他学部の学生に比べて 
 
① 1年制のプログラムなので、あまり時間の余裕がない 
② 仕事経験が長いだけに、サボるのがうまい奴もおり、それを叱るような雰囲気もない 
③ 男女とも平均年齢が高いので、思春期的ときめき感に欠ける 
 
あたりは難点である。この写真とかを見ても、おっさんおばはんばかり。
 
とは言え助かるのは、やはりみんな仕事の勘所が分かっていること。何しろMay Ballは
れっきとしたケンブリッジ市の行事である。運営者は100ページもある市役所作成の
マニュアルを読み込み、必要な企画書、申請書を作成する。MBAに来てカレッジの
見取り図と什器の配置図を作ることになるとは。。
 
また、昨今ではゴミ処理、環境規制もうるさいので、それらについては特別に対策を立てて
市と事前協議しなければならない。加えて、多頭政治の好きなヨーロッパならではなのか、
市にしてもカレッジのえらい人にしても窓口が一本化されておらず、色んな人がああでも
ないこうでもない言うので、運営側の兵隊が振り回される。これを20歳そこそこのメンバー
だけでやろうと思ったら相当シビれるはずだ。
 
確かに、10万人そこそこしかいない市で億円単位の金が短期的に動き、学生が間違いなく
暴れる以上、市当局が敏感になるのも無理はない。この仕事をやってると、この街では
学生が絶対的主役(MBAかどうかは置いといて)なんだなということはよく分かる。
ぼちぼちまたひとつ年をとってしまうが、ハートは高2ということで引き続きがんばりたい。

 
あと勉強もします。
 
 
 
 
 
 

03.31.17:47

It's time to think of our future

あと2日で渡航後、まる7カ月。


クライアントと会うのが延期になり出遅れ感のあった
Global Consulting Projectも、
ようやく盛り上がってきている。与えられた課題は、とある大手製薬メーカーの
損益にClimate Changeが与える影響を、今後20年間で予測し対策を考えろ、という
なんとも広ーーーいものなので、これを如何に形にするか頭を悩ませている。

どうもオレはチームメンバーには恵まれる境遇にあるらしく、今回も問題児的な
子は一人もおらず、極めてまじめなチーム。プレゼンなんか作らせるとさくさくっと
いいものが出来てくるので、そういう部分にやや弱い分、計数モデリングとか
マーケット分析とか、得意な分野でがんばって貢献しないと、という気分にさせられる。

一方、チームへの貢献とか和とかも考えなければとは思うが、今回のプロジェクトで
成し遂げたいのは、ぶっちぎりで環境政策、特にCO2規制に詳しくなることである。
その為にはチームの和は犠牲にしてもいいくらいだと思う。

なぜならこの分野は儲かるエリアだから。儲かる、というか、全ての規範になるであろう
CO2規制に精通しておくことは、大型プロジェクトをコントロールし、各国のえらい人に
深く刺さり、結果儲けるという、営業マンとしての必要条件だと思っている。

別に政策大学院とかに入ったわけではないが、政策が自分の商売に与えるインプリ
ケーションまで、しっかり腹落ちさせておきたい。

しかし、このメンバーと勉強ができるのも、あと3カ月。これからはMBAも終盤戦。みんな
徐々に、夏以降どうする?という会話をし出している。終わりが見えてくると、急に
愛おしくなったりするもので、作業中も余計なプライベートの話に花が咲いてしまう。
高校の時のテスト勉強しかり、みんなでやる勉強、というのはどこに行っても非効率なの
だなと思いつつ、まあこれもいいかしょうがねえなと自分を納得させ、最近英語で覚えた
下ネタなどを披露して遊んでいる。

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