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ロンドンで働いてみた

Cambridge MBAを2010年夏に終了後、そのままロンドンで仕事してみています。 ここでの体験を日本で役立てられるよう、日々勉強しています。
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11.21.14:18

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  • 11/21/14:18

01.07.07:26

2011はじめ


2011年も明けてしまいました。いやはや。

去年の今頃書いた記事を思い起こすと、なかなか恥ずかしかったりするのだけど、目標は「とがる」だった。


では本当に1年間、とがれたか?
 
 
1)    たしかに、自分でも驚くほど、色んな人に無理矢理会いに行ったりして、2009年と比べて自分の世界は大きく変わった。
2)    自分の日本の会社からも、一部で「やりすぎ、もうちょっと大人しくしてなさい」とのありがたい指令を受けるほどになり、それなりには頑張れたのか?と思う。
3)    ただ、それはあくまで今までの自分や自分の会社から見た評価であり、世間一般的にどこまで殻を破れたかというと疑問。年末にとある人からも「君は優等生タイプだねー」と真顔で言われ、正直落ち込む。
4)    結局、俺自身はそこまで変わってないんじゃないのか?というのが1年間の感想。もしかするとそれは、前回エントリでも書いた、自分のアイデンティティを疑うところまで思考が及んでいなかったからなのかもしれない。

 
というわけでもうちょっと頑張ってみたいのだが、もう一回チャレンジするならやり方を変えてみよう。

とても好きなブログにこんな記事がある。


この中の「3. 付き合う人を変える」というのを実践する意味で、働く先をこの1月から変えた。9月からいたイギリス系建設会社も結局伝統的な大企業だったのだけど、今度入ったのはこの前できたばかりの、どベンチャー企業。しかもモバイル&ソーシャル系。重厚長大で来た今までのキャリアとは真反対にいる。
 
そんな未経験でわけも分からない俺が、けっこう責任重大な役をやることになってしまい、いきなり追いつめられたりしている。これはやばい。相当やばい。

日本に帰るまであと8カ月程度、この会社で何がどこまでできるか全く見えないけど、「君は優等生タイプだねー」と言ってくれた社長からなるべくたくさんのことを学べるよう、とにかく一生懸命やろうと思う。




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12.20.07:03

イギリス的組織での同僚との会話と、今更の気づき

今日で渡航後、473日目。早いもので2010年も年末。日本の仕事に戻るまでにあと8カ月程度。

今日は、ここに来てちょっと困ったなという話。
 
 
 
自分で言うのもなんだけど、もともと、俺はかなりジャパンラブな男である。
 
そもそも留学しようと思ったきっかけも、エネルギーの仕事で日本側が海外勢(もっと具体的には中東の国)にケチョンケチョンにされるのを見て、しかも自分たちがそれに対して何もできないのを見て、これじゃあかん、この調子で日本ベースで成長しても、こいつらと互角にやれないのでは?と思ったからだ。
 
だから、その頃書いたMBA入試のエッセイを見ても、かなり熱い。ジャパンいっぱい。今にも2.26事件でも起こしそうな勢いだ。
 
そのへんの思いは今も基本的に変わらずきている。だからこそ日本企業をネタにしたブログまで書いちゃって、色々悩んできた。
 
 
と、ここへ来て、最近あった話。今いる会社の同僚で最も忙しそうな感じなのが、ロシア語ができる女性(今の国籍はリトアニア人だけど、人生の大半はロシア育ち)。やはり伸び盛りのロシアに対応できるということで、一日中常にロシア語で電話している。
 
その彼女と、最近こんな会話をした。
 
俺:Are you going back to Russia in Christmas holidays?
彼女:No, I will stay in the UK this time.
俺:Do you think you will work in Russia in the future?
彼女:No, I prefer to stay in the UK and make best use of my language skill as Russia is my key client.
俺:But I suppose Russia has more growth potential and opportunities than the UK?
彼女:Probably, but I don’t think I need to stay there to use its opportunities.
俺:Umm, OK...
 
この会話の中で彼女が「ロシアはkey clientなので」と言った時、なんだかすごく違和感を持った、というかイラっときてしまったのだけど、多分それは、文脈はともかく、自分の国を、客です、以上。と言えてしまう感覚がなんか寂しいなと思ったのだと思う。これが日本人内の会話だったら、この非国民め、ばりの返しをしていたかもしれない。
 
 
だけどよく振り返ってみると、むしろこの感覚は俺が今までイギリスで会った中国人やインド人、ヨーロッパの他の国の人にも共通していて、別に珍しくはない。まあ帰ってもいいけど、帰らなくてもいいよね、特にこれって言ってやることもないし、くらいが普通である。こんなことMBAの時に既に同級生から感じていたはずなのだけど。
 
 
そう考えると、逆に俺はなぜそんなに日本のことで思いつめているのだろう、何をそんなにジャパンジャパン騒いでいるのだろう、と悩みだしてしまった。
 
思えば、今までの人生が全て日本ベースで、かつキャリア上もずいぶん日本に寄りかかった仕事をしてきたので、これからはなんとか国に貢献できないか的な考え方をしてきた。でも考えてみれば、一介の営業マンがわざわざアイデンティティを国に求める必要は無いわけで、政治家でもないのに日本日本言うことはむしろビジネスの視野を狭めることにもなりうるし、どこかで判断を歪めかねない。
 
自分に対してよりきつい言い方をすれば、他に特に強みもアイデンティティもないのでとりあえずジャパンを軸に据えてみてただけじゃねーの?とも言える。だとすると、それって相当ナイーブな判断だ。きっと、本来自分が個人として磨くべき教養や価値観を曖昧なままにして、既存の考え方をよしとしてきた部分があるのだろう。
 
 
こんなこと言いだしてしまうとこれからの自分のアイデンティティのよりどころに非常に困ってしまうのだけど、思ってしまったものは仕方ない。イギリスにいるのもあと8カ月、ハードルが上がってしまった感があるが、なんとか頑張りたいと思います。
 
ちなみに今の会社とは契約が切れるタイミングで、色々考えたのだけど、別の会社に移ります。このへんはまた。

12.10.10:16

students

学生を怒らすと怖いという証明。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-1337088/TUITION-FEES-VOTE-PROTEST-Charles-Camillas-car-attacked-thousands-students-descend-Parliament.html

もともとキャメロン政権のいわゆるausterity政策には大いに疑問を持ってるのだけど、やっぱ学生
さんを怒らしちゃいかんぜということだろう。政治家として、そこに手をつけるのは非常に危険。世界
の歴史を振り返れば、革命は常に学生が起こす。

だから、日本の学生ももっと怒っていいと思う。つーかこのイギリスの怒りがあんまり日本で報道
されてない感じなのは、やっぱ意図的なんだろうか。

12.10.09:55

改めて、twitterってすごいよね。

昨日はロンドンに来た日本からの客を迎えた。

客っていうか、大学生なんだけど。世界1周してて、ちょうどケンブリッジやロンドンにも来るという。

http://88spirits.com/

いやー、なんか熱いし、周りの巻き込み力がハンパじゃないなと思って、twitterでいきなり
連絡してみたらロンドンで会えることに。たまたまこっちにいる日本人留学生で組織してる
パブ飲み会があったので、そこに誘ってみんなで囲んでみた。

ロンドンには日本からの留学生がものすごく多く(ボストンと並んで多いらしい)、いつもやってる
パブ飲みも50人くらい簡単に集まってしまう。特に留学中はみんな意識が高いので、話題も
雰囲気もビンビンである。この熱気を日本に帰ってからも保てるかどうかがポイントなんだけど。

日本から来た彼らの当初の目的とはちょっと違ったかもしれないけど、ロンドン在住日本人の
気合いを感じてくれれば幸いである。またやろう。熱いもん同士が集まれば、きっと何か生まれる
はず。

12.01.23:10

イギリス的社会における組織運営2. 「平等」

イギリス大企業での発見その2は、「平等はタダでは実現できない、でも何よりも重要」ということ。


いまどき、差別はいいことだなんていう人は誰もいないだろう。人種、性別、宗教、なんでもいい。そう、差別は悪だ。我々は平等でなければならない。

では、ことビジネスにおいて、なぜ平等が重要なのか?それは被差別集団のやる気を決定的に下げるからだ。グローバル企業において、これは特に重要だ。グローバル企業では従業員のバックグラウンドは多種多様で、そして一見しただけでは分かりにくい。でも本人たちがそこにアイデンティティを感じている以上、差別の顕在化は従業員によるストライキ、訴訟、一斉退職を容易に引き起こす。

イギリスのEquality Act("平等法")におけるDiscriminationの定義は大きく二つ。


1. Direct Discrimination - 直接的差別
A person (A) discriminates against another (B) if, because of a protected characteristic, A treats B less favourably than A treats or would treat others.

弊訳:ある人Aがある人Bを、Bの保護されるべき性質(年齢、障害、既婚/独身、人種、宗教/信条、性別、性的志向)のために他の人より冷遇した場合、これは差別である。
 

2. Indirect Discrimination - 間接的差別
A person (A) discriminates against another (B) if A applies to B a provision, criterion or practice which is discriminatory in relation to a relevant protected characteristic of B's.

弊訳:ある人Aがある人Bに対し、Bの保護されるべき性質に関連する差別的な条件、基準、慣行を適用した場合、これは差別である。


1.は分かりやすいと思う。要は、黒人だから部長になれない、とか、イスラム教だから採用しない、とかはダメです、ということ。

2.はちょっと分かりにくい。もっと詳しい解説をググると、長いけど、


"Indirect discrimination occurs where the effect of certain requirements, conditions or practices imposed by an employer or education provider has an adverse impact disproportionately on one group or other. Indirect discrimination generally occurs when a rule or condition, which is applied equally to everyone, can be met by a considerably smaller proportion of people from a particular group, the rule is to their disadvantage, and it cannot be justified on other grounds."

弊訳:間接的差別は、雇用主や教育者によって課される要求、条件、慣行が、特定の集団だけにとって不利な効果をもたらす時に起きる。一般的には、全員に適用される社内ルールや条件が、グループの一部の人にしか守れない場合、守ると不利になる人がいる場合、またはその他の理由で正当化できない場合が間接的差別である。

要は、「お前はイスラム教徒だからクビだ」とか言われないまでも、「お祈りを行うべき時間に毎日営業会議がある」とか「社員食堂でトンカツ以外の選択肢がない」とかはダメだということ。



さて、これらを厳格に守るイギリスの大企業で何が起きるかというと、1.の直接的差別に関しては言うまでもなく、この点に関する教育は入社時にまる半日かけて行われ(俺のような短期労働者でも受ける)、その後も厳重にチェックされる。


カルチャーショックだったのは2.の間接的差別に関してで、例えば5時半以降は原則、正式な会議は禁止。なぜかというと、出席できない人がいるから。その時間だと、子供を持つ親や、病気、宗教などで当然出られない人がいる。その人達の権利を守るためには、みんなそっちに合わせなさいというのが会社のメッセージだ。


これは日本的な「気合いでがんばる」「長時間働く人が偉い」みたいな文化からすると相当チャレンジだ。個人的に、こういう文化自体が大嫌いだが、意外と「日本人の勤勉さが日本の競争力の源泉」みたいな論説は多く(俺はこういうろくに分析もできてないでロマンスに逃げる論説も嫌いだ)、これをやるとなると、弱者に合わせるなんて組織として退化じゃないか、とかいう人も必ずいるだろう。


だが、要は平等とは、かっこいいお題目ではなく、コストをかけて行うべき施策なのであり、そこでは今までのマインドセットの変化が必要だということだ。グローバル企業になるならば、「一億総火の玉」みたいな根性論ではなく、組織の多様性とそこから生まれるアイディア、リスクヘッジなどをとるべきだ。

そもそも日本企業の場合は、1.の直接的差別すら排除できていない。日本採用組と海外採用組の待遇に圧倒的な差がある、とか、日本人で会議やる時に非日本人を呼ばない、とかもう最低である。今から一つずつ直していかねばならないが、その前にどこかで訴訟でも起きるんじゃないか、と心配でならない。やられたら変わるのかもしれないけど。

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